コンサートの裏方取材リポート・第一弾!香港の人気歌手・鍾漢良(ウォレス・チョン)北京公演/その3

今回は視覚表現に注目!

ニーハオ!HITOARIKIスタッフのファンです。

『コンサートの裏方取材リポート・第一弾!香港の人気歌手・鍾漢良(ウォレス・チョン)北京公演/その2』の続きになります。


今回は素敵な照明と映像チームのお話を伺いました!

<照明>永井雅彦さん(東京舞台照明)と百々恵生さん(東舞工程諮詢)のインタビュー

—初めて中国に仕事で来たのはいつでしたか?

百々:2007年「Rockza Strip Show」、マカオ劇場の施工仕事のため、はじめて中国に行って、一年ぐらいマカオにいました。そのあとは2008年、2009年、2010年、一ヶ月に10日程、プログラムチェンジのためマカオに行くのが、三年くらい続きました。上海の東京舞台照明からの発注で、2008年の上海モーターショーにオペレーターではじめて入りました。

永井:2008年嵐の上海コンサートです。今回は8年ぶりです。



―今回のツアーで思った、将来挑戦したい目標や課題はありますか?

百々:上海の方では、展示会、発表会やコンサートなど大体全般的にやっていますね。機材のクオリティーはやはり下がります。昔、機材は日本から輸入しても黒字でしたが、いまはそんなことがなく、仕事の量は変わらなくても、単価が下がっています。以前はすごい規模でやっていたことができなくなり、ローカルのレベルも上がっていますから、今後はどうやっていくのが課題ですね。あと最新の機材を買っても、管理できないことも深刻です。


—今回のツアーの中で一番こだわっている事は何ですか?

永井:制作が日本のチームですから、ピンスポットは日本の精度でやってほしいと服部さんに言われました。当社のピンオペレータースタッフを数名連れていきました。それを日本でやっているようにやらせたいですが、なかなかうまく行かなくてちょっとストレスです。いまはいい評価を頂いていますが、ものづくりの段階でもうちょっとちゃんとしたら、よりいいものができるではないかと思います。


—中国と日本の現場での仕事のやり方の違いはありますか?

百々:ご飯の時間は大切にしていますね。前は別の仕事で、スケジュールが押したから、晩御飯なしと言ったら、大顰蹙でした。怒られました。しかも、温かいご飯じゃないとダメです。お弁当が用意されたら、すぐ食べに行ってしまいます。食べに出ってもらうと、いつ帰ってくるのがわからないです。上海と北京はまだいい方ですが、成都など地方に行くと、12時にご飯に行って、14時に帰ってきて、17時に退勤するということになります。場所にはよりますが…

   あと、時間概念は全然違います。9時仕事開始と言ったら、9時にホテルから出発することになってしまいます。だから30分の余裕を持たないと。今回のライブは開演時間をちゃんと告知されているのがまだいい方ですが、市民会館でのコンサートはいつ開演するのがわからないです。時間が決まっていますが、お客さん待ちだから、30分押すとかよくあります。もう慣れましたが、最初のうちはなかなか…都市ごとによって、考え方も違います。上海だと、最初は大もめしますが、決まったことはやってくれます。北京だと、素朴で頑張ってくれますが、途中で言ったことが変わるんです。


—一番印象が残ったのはどの公演ですか?(上海、広州、深圳、北京)その理由は?

百々:深圳の煙ですね。あの会場は吸気されていないですね。

永井:細かく反映されていました。


—今回のツアーの中で一番楽しかった事は何ですか?大変だったと思った事は何ですか?

百々:2011年に永井さんと一緒にツアーを回しましたので、今回は久々に同じ現場で、やっぱりいいですね。本社の人間が来てくれてうれしいですね。

永井:色々ありますね。照明レベルのことで…百々は全部受け止めてくれましたけど…


—最高のライブを創り上げるために、一番大事なことは何だと思いますか?

永井:コミュニケーション。

百々:コミュニケーションですね。


—最後に、今回のツアーの音響会社MSI JAPANにコメントがありますか?

百々:いつも川南さん、さん、山田さんと中野さんにお世話になっています!

永井:ほんの少ない友達。(笑)

百々:川南さんに紹介されたお店は会社の近くですから、ばったり会えます。


 <映像>中嶋一嘉さん(AVC映像センター)と牛山超一さん(映像センター)のインタビュー

<映像>中嶋一嘉さん(AVC映像センター)と牛山超一さん(映像センター)のインタビュー

—初めて中国に仕事で来たのはいつでしたか?

中嶋:1999年ですね。展示会がメインです。その時にやっていたメーカーさんが中国で展示会にもお力を入れたいとのことで、声をかけられました。ちょうどその時、うちは広州AVC放送が動いています。そのベースのある会社が出来ていて、何個の関連会社があって、そこから全部機材を手配するというスタンスで、仕事を受け始めました。

   その時受けた仕事は映像だけではなく、音響、照明とブースの施工も。要するにブース全部を受けるという形です。初めて来たのは展示会のツアーだったので、1箇所2週間のツアーで、4箇所を回りました。最初は協力ありきでやっていましたが、オペレーターとクオリティーの足りない機材がすべて日本からという考え方がありました。会社のスタートとしても、現地の仕事を受けてなかったですね。現地にある日本法人や代理店の仕事を受けていたのははじめてで、現地企業の仕事を受けてなかったです。余裕がなかったし、予算も違うと思います。


―中国で思った将来挑戦したい目標や課題はありますか?

牛山:これこそコンサートじゃないですか!今まで歌ものなどの仕事はあまりなかったです。

中嶋:中国ではなかったですね。

牛山:4~5年前からうちの社長がずっと川南(MSI JAPAN)さんと話ししていて…

中嶋:本来この仕事のきっかけは川南さんですね。今回このツアーの仕事を受けたのは、うちの前社長が川南さんから相談を受けて、中国スタッフは歌ものの経験がないので、日本から歌ものをやっているスタッフを呼びました。でも、前社長はやっぱり中国でも歌ものをやりたいという野望がありました。


—日本人スタッフと中国人スタッフと一緒に仕事するのが違いはありますか?

中嶋:全然違いますね。明らかに文化の違いと考え方の違いです。あと契約に関する考え方の違いがすごく大きいとですね。発注先じゃないから、「やってください」ではなく、「やってもらえると助かる」という言い方しないといけません。そういう感覚にはすごい気を遣います。理由のない要望を投げても、納得してくれないです。理由があるから、してもらえると助かるという言い方ではないと、無理だなと過去経験しました。

牛山:生まれも育ちもやり方も全部違います。尊重しないといけないと思います。

中嶋:逆に発注権を持っていることの強さは日本にはないくらい強いです。(笑)


—今回のツアーの中で一番にこだわっている事は何ですか?

中嶋:中国だからということではないですが、見に来たお客さんが喜ばないと済まないので…心掛けていることといえば、見に来ているお客さんは中国人であることで、日本のやり方だけ押し付けてもだめかなと思って、どういう演出が好みなのか?どういうものはたのしいと思うのか?考えるべきと思いながらやっています。


—一番印象が残ったのはどの公演ですか?(上海、広州、深圳、北京)その理由は?

中嶋:ある意味深圳です。広州で色々問題が出て、深圳でもクリアできなかったことです。上海でベースがあるから大丈夫でしたが、持ち回ると違う環境でやっぱり色んな問題が起こりましたので、お互いの慣れはもう少し必要かなとは思います。


—今回のツアーの中で一番楽しかった事は何ですか?大変だったと思った事は何ですか?

中嶋:全般的に楽しんでいます。私と牛山以外、そんなに中国の経験が多くないスタッフが多いですので、入ってくる若い子たちに経験させて、次回一人で来るとき、この経験を生かせるのが楽しいです。あと、この形の仕事はレアですから、普段見られない各セッションの色んな苦労部分が見えます…

牛山:コンサートの仕事自体は初めてですから、全部面白いです。


—最高のライブを創り上げるために、一番大事なことは何だと思いますか?

中嶋:忍耐です。あとは楽しむこと。


—今回のライブであなたが一番気に入っている所(曲、演出など)はどこですか?

中嶋:映像をよく使っていただけているところです。素材は頂いているだけですが、中国でこんなに素材をバンバン流す現場は、歌ものではなくてもあまり多くなかったです。展示会であれば、常に映像を流していますが、歌の拍に沿って、ネタが展開するのはなかったです。今回はクリックを頂いて、きっかけを取ってというのはこちらでやるのが初めてです。

—最後に、今回のツアーの音響会社MSI JAPANにコメントがありますか?

中嶋:今後ともよろしくお願いします


(取材協力:MSI JAPAN