—初めて中国に仕事で来たのはいつでしたか?
10年くらい前ですね。
10年前と比べると、中国のスタッフのクオリティーが上がっていますね。もうちょっとシステムチックになっています。道具とかも、作業しやすい形になりました。今回も時間ないですが、現地さんが頑張ってやってくれました。
昔だったら、二日でここまでできなかったので、中国の方も慣れているというか、色々こういう現場が増えていて、経験を積んだことじゃなかと思います。
—今回のツアーで思った挑戦したい目標や課題はありますか?
演出は日本の内海毅(U2 CREATE)さんにお願いをしたので、わりと主催も日本でやっているクオリティーのことをオーダーしてきます。
ただ今回リフターの機構にに少し問題があったので本番で演出通りに動いてくか心配です。新規で作ってくれていると思いますが、そういう意味で、チャレンジしていることですね。
今まで中国でやっていない演出など色々がありますので…
―ツアーで一番にこだわっている事は何ですか?
ウォレス・チョンさんの台湾の事務所の方が日本のクオリティーを見て、日本のスタッフを選んで、仕事をくれたことで、期待を裏切らないように、すごいなと思われることはやりたいです。
—日本人スタッフと中国人スタッフと一緒に仕事するのが違いはありますか?
言葉の壁があるので、通訳をして、時間がかかってしまうし、ニュアンスが伝わないし、難しいです。
現場の前に打合せなどをしっかりしても、現場で見るのと違うということがやっぱりあります。
例えば、今回SMG(上海メディアグループ)さんと4現場一緒にやって、わりとこちらのやり方をわかってもらえたし、向こうのやり方もわかったので、同じチームでやっていけば、お互いに理解できて、距離も縮まって、やりやすくなるではないかと思います。
—中国と日本の現場での仕事のやり方の違いはありますか?
大体アジアの現場で、舞台監督という取りまとめる人がいなくて、各セッションで自分達のやりやすいようにやっていきます。
例えば、極端な話ですが、物を置いたりして、次の搬入が出来なかったり。舞台監督がいれば、段取りが組んであればかなりスムーズにいけると思いますが…
それから、日本と比べると、会場費がたぶん安いかもしれないですね。だから日程が空ければ、一週間で舞台を作ることになります。
—今回のツアーの中で一番楽しかった事は何ですか?大変だと思った事は?
ウォレス・チョンさんは日本ではそんなに有名じゃないですが、中国ではすごく人気があって、僕たちはどれくらい人数集まるか全然わからなかったけど、こちらに来て、お客さんが来て、喜んでもらえるのを見ると嬉しくなります。
すごい距離がありますので、打合せや色んな連絡など、一応メールは通訳さんを通してやり取りをするので、すんなり打合せできないことが大変ですね。答えをすぐもらえないといけないことが遅くなることもあります。
—今回のライブであなたが一番気に入っている所(曲、演出など)はどこですか?
映像の後ろの背景がLEDになっていて、内海さんが演出にはしっかりと作っていて、通常の中国の皆さんがやっている映像のクオリティーよりはすごく綺麗だなというものが見せられたんじゃないかなと思います。
あと、遊園地の作り方とかもできているかなと思います。
—ツアー中に覚えた中国語で一番役に立った言葉を教えてください。
「謝謝(シェシェ)」ですね。ありがとうございますという言葉が一番です。
—今回、日本人スタッフの統括という立場で一番苦労された事は何ですか?
一番初めのクオリティーにあたって、まずアーティストサイドとの仕事は初めてでしたし、SMGさんも知っている現地の舞台照明さんですけど、知らないところのスタッフもたくさんいます。
やっているライブ制作ということは初めてですので、皆さんに理解してもらってやるのが苦労しました。あと、言葉の壁ですね。日本のスタッフが全部オペレーションをやるので、進行も含めて、理解してもらうのはすごい難しかったです。
—今後、この様な形態の仕事は増えていくと思いますか?
日本のクオリティーという部分では、やっていけたらいいなと思いますけどね。やっぱり能力はすごくかかるので、付き合っていただけるスタッフがいれば、出来たらなと思います。
—今回のツアーで今後、日本でも取り入れていこうと思った事はありますか?
衣装ですね。クリエイティブな事を考えている事務所です。日本人じゃない感性のところがありますので、面白いですね。
—最高のライブを創り上げるために、一番大事なことは何だと思いますか?
個人的には、やっぱり見に来たお客さんが楽しく帰れることは考えています。
まずお客さんが見て、また見に来たいとか、見に来た時、現実逃避じゃないですが、遊びに来た感覚とか、楽しんでいることです。お客さんが一番ですね。
その次には、アーティスト本人、ダンサーさん、バンドメンバーが楽しく仕事できる環境を作りたいです。
さらに、音響や照明、電飾など色んなスタッフがスムーズに行けるようにやっていて、キャスト、スタッフを含めて、お客さんにも見せたいというところが一番と思いますので、そこに向かって、みんながひとつの物を作ることができればいいかなと思いますね。
—最後に、今回のツアーの音響会社MSI JAPANにコメントがありますか?
業界に入って、27、8年ぐらいですが、入ってからMSIの前身のMOBがあって、わりと音響会社として仕事することが多かったです。色んなMSIのスタッフにお世話になっています。
日本にとどまらず、アジアで色々とやっていくビジョンが素晴らしいなと思っていて、そういう風にやっている会社は日本にないです。いま北京、上海、香港、台湾、4拠点でやっているので、アジアでもっと有名になって、頑張ってもらいたいなと思います。
今回も元々MSIさんのご紹介で、お仕事がありましたので、協力したいなと思います。
(取材協力:MSI JAPAN)
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